フレイルとは?地域で安心して暮らすために大切な視点
フレイル(虚弱)とは、加齢により心身の活力が低下し、健康障害や介護が必要な状態に移行しやすくなる中間的な段階を指します。
まだ介護認定を受けていない高齢者の中にも、生活機能の低下が始まっている方は少なくありません。病気ではありませんが、放置すると転倒や入院、要介護状態に至るリスクが高まります。

フレイルの主な原因
加齢に伴う筋力の低下(サルコペニア):活動量の低下により、日常生活動作(ADL)が制限されてきます。
栄養不良・低栄養:食欲低下や独居などにより、必要な栄養が摂取できず、体力の低下を招きます。
社会的孤立:外出機会や人との交流が減り、心の健康にも影響します。
慢性疾患の影響:糖尿病、心不全、認知症などが、身体機能や認知機能の低下を加速させます。
フレイルの兆候と気づきのポイント
歩行速度が遅くなった、よくつまずくようになった
疲れやすく、横になる時間が増えている
食事の回数・量が減ってきた
数か月で体重が2〜3kg以上減少
「外に出るのが面倒」と感じることが増えた
このような小さな変化に早期に気づき、適切な支援を行うことでフレイルは予防・改善が可能です。
訪問看護・訪問リハビリが果たす役割
訪問看護師やリハビリ専門職は、在宅療養者のフレイル状態を見逃さず、以下のような支援を行います
健康状態や生活機能の評価:フレイルスクリーニングやバイタルチェックを通じて、変化に早く気づきます。
栄養アセスメントと食事支援:低栄養の兆候を把握し、管理栄養士とも連携します。
生活機能向上のための運動指導:バランス訓練や関節可動域訓練、筋力トレーニングなどを個別に提供します。
服薬管理・医療的ケアの支援:多剤服用による影響や薬の管理が重要です。
精神的な支え・社会参加への支援:傾聴や孤立予防の声かけを大切にします。
訪問の現場では、疾患の管理だけでなく、その背景にある「フレイル」という視点がますます重要になっています。
利用者の“暮らし全体”に目を向けるアセスメント力と、多職種と連携した支援力が問われます。
「まだ介護認定もないから」と見過ごされがちなフレイル状態を早期に発見・介入することは、重症化予防・地域包括ケアの本質とも言える取り組みです。
地域ぐるみでフレイル予防を
フレイルは早期発見と適切な介入により、十分に改善・回復が期待できます。医療・介護・福祉の多職種が連携し、地域全体で高齢者の自立支援を進めていくことが大切です。
私たちN-art訪問看護ステーションでは、フレイルの予防と対応にも力を入れ、地域の皆さまが元気で自立した生活を送れるよう支援しています。最近少し気になる変化がある方、フレイルの兆候に気づいた皆さま、ぜひお気軽にご相談ください。